しろくまモネ

白っぽい小犬モネとの日々

ぷろふぇっしょなる〜仕事の流儀〜  障子破り職人モネ

あまり一般的には知られていないが障子破りという職業をご存知だろうか。襖と障子といえば日本家屋を代表する建具であるが、近年の洋風な住宅ではあまりお目にかかれない。大掃除で障子を張り替えるというのはかつて日本の風物詩でもあった。そんな障子の張り替えを家主に促すのが今回ご紹介する障子破り職人の仕事である。

白熊モネ。この現場を任されている監督であり「廊下アーティスト」の異名を持つ。幼いいでだちだが実は生後4ヶ月からこの仕事についており、見た目に反してそのキャリアは長く周囲からの信頼も厚い。

モネの仕事のスタイルはこうだ。まず二本足で立ち上がり前足の爪を障子紙に食い込ませてそのまま自重を利用して下がる。その後破れた紙の一片をくわえてて穴を大きくする。モネが現場で廊下アーティストと呼ばれているのはこの広げ方が所以だ。

ある時は何かに取り憑かれたように一心不乱に破る。

ムシャクシャしてやりましたスタイル

またある時は一本ずつ慎重に丁寧に。その目に迷いはない。

時には鼻からいって障子の向こうで呆然と立ち尽くす家主を楽しませる工夫も忘れない。

鼻の穴なの穴の鼻なのスタイル

怒られないんですか?と番組スタッフが聞いた。

モネは語る。「外から見たら一見傍若無人なふるまいだけれど…僕らの仕事は家主にどれだけ新しい障子を張りたいって気持ちにさせられるかなんだよね。少しの穴くらいなら百均のシールでカバーできちゃう。この家もそうなんだけど、もう何年も張り替えてないの。そこをね、一念発起させる。障子張りってそこそこ重労働だからなかなかやろうって気にならないでしょ?でも、ああもうだめだ、これじゃ寒くて冬が越せない、って気持ちにさせるのね。僕が破ることでやりなくないっていう気持ちをやるしかないっていう気持ちに自然にシフトさせる。意欲が湧くよね。それに最後は家主さんの手で残りの紙を破るでしょう?大きな紙を破るのって気持ちいいよね。ストレスの解消にもなる。たとえ僕を怒っててもそのストレスも解消できるんだよ。さらに障子はきれいになったらやっぱりそれも気持ちがいい。家主さんに気持ちよく生活してほしい。それだけでやってるんだよなぁ、僕は。」

 

この現場の最終日。

モネは新たな障子に珍しい形に穴を開けた。

この図形にこめられた願いとは

遠くで家主と思われる女性の悲鳴にも似た歓声が上がる。

モネがこの穴から見ている景色は、家族の幸せだ。